セクターとは?
株式上場している企業は、業種ごとにグループ化されており、これを「セクター」と呼びます。
米国ETFのセクターは、GICS(Global Industry Classification Standard:世界産業分類基準)という産業分類で11種類に分類されており、「生活必需品」「ヘルスケア」「公共事業」「情報技術」「資本財」「エネルギー」「通信サービス」「一般消費財」「金融」「素材」「不動産」の11種類のセクターがあります。
例えば、日用品・飲料などを製造・販売する企業は「生活必需品」セクター、医薬品を製造・販売する企業は「ヘルスケア」セクターに分類されます。
また、「資本財」「一般消費財」の2つは、言葉からどの様なセクターかイメージしづらいと思いますが、「資本財」セクターは、機械・航空・鉄道・運輸・建設・電気設備などを事業とする企業が分類されます。
「一般消費財」セクターは、自動車・ホテル・レストラン・レジャー・アパレル・贅沢品などが分類されます。インターネット通販も「一般消費財」セクターに分類され、アマゾンを中心にセクターの中でも大きな割合を占めます。
セクターETFとは?
各セクターに投資するETFが「セクターETF」です。
特定のセクターが成長し株価が上昇すると考え投資したい場合、これらセクターETFを用いることで実現することができます。
特定セクターへの投資は個別株でも実現することが可能ですが、各個別銘柄の決算・業績を確認し、リバランスなどを行なっていく必要があるなど手間が掛かります。
また銘柄分散にも限界があり、特定の銘柄に集中してしまうリスクもあります。
その点、セクターETFを利用すれば、リバランスは自動で行なってくれるなど手間が掛からず、低コストで特定のセクターに分散投資が可能です。
米国セクターETF
以下の表に、各セクターの主なETFと、セクターを構成する主要企業を示しました。
各セクターを構成する主要企業は、米国内だけでなくグローバルに展開する企業が多く、P&G・ジョンソン&ジョンソン・アップル・フェイスブック・アマゾンなど、日本でも馴染みのある企業も多くあります。
つまり、各米国セクターのETFに投資することで、対象セクターの世界的企業にまとめて投資することができます。
セクター | 主な米国セクターETF | 主要企業 |
生活必需品 | VDC・XLP | P&G コカコーラ ペプシコ |
ヘルスケア | VHT・XLV |
ジョンソン&ジョンソン
ユナイテッドヘルス アボット |
公共事業 | VPU・XLU |
ネクステラ・エナジー
デューク・エナジー サザン・カンパニー |
情報技術 | VGT・XLK | アップル マイクロソフト ビザ |
資本財 | VIS・XLI |
ハネウェル
ユニオン・パシフィック ボーイング |
エネルギー | VDE・XLE | エクソン・モービル シェブロン EOGリソーシズ |
通信サービス | VOX・XLC | フェイスブック アルファベット T-モバイル US |
一般消費財 | VCR・XLY | アマゾン テスラ ホーム・デポ |
金融 | VFH・XLF |
バークシャー・ハサウェイ
JPモルガン・チェース バンク・オブ・アメリカ |
素材 | VAW・XLB |
リンデ
シャーウィン・ウィリアムズ エアー・プロダクツ・アンド・ケミカルズ |
不動産 | VNQ・XLRE | アメリカン・タワー プロロジス クラウンキャッスル |
表. 米国セクターETFの主要ETFと主要企業
グローバルセクターETF
米国企業だけでなく、グローバルに各セクター企業に投資可能なETFもあります。以下の表に、主なグローバルセクターETFを示しました。
主要企業にはやはり多くの米国企業が含まれていますが、ネスレ(スイス)・ロシュ(スイス)・TSMC(台湾)・テンセント(中国)など米国外の各セクターを代表する企業も含まれています。
米国偏重を避けて特定セクターに投資したい場合などには、これらETFが選択肢となります。
ただし、米国セクターETFに比べ、経費率が少し高い点はデメリットになります。米国セクターETFが年間0.1%台なのに対し、グローバルセクターETFは0.4%台となっており、選択する際には考慮すべき点です。
セクター | 主なグローバルセクターETF | 主要企業 |
生活必需品 | KXI | ネスレ P&G コカコーラ |
ヘルスケア | IXJ |
ジョンソン&ジョンソン
ユナイテッド・ヘルス ロシュ |
公共事業 | JXI |
ネクステラ・エナジー
イベルドローラ エネル |
情報技術 | IXN | アップル マイクロソフト TSMC |
資本財 | EXI |
ハネウェル
ユナイテッド・パーセル・サービス ユニオン・パシフィック |
エネルギー | IXC | エクソン・モービル シェブロン トタル |
通信サービス | IXP | フェイスブック アルファベット テンセント |
一般消費財 | RXI | アマゾン テスラ ホーム・デポ |
金融 | IXG |
バークシャー・ハサウェイ
JPモルガン・チェース バンク・オブ・アメリカ |
素材 | MXI | リンデ BHPグループ リオ・ティント |
表. グローバルセクターETFの主要ETFと主要企業
各セクターのリターン比較
最後に、各セクターのリターンについて見ておきます。
以下に、2011/1/1を1とした場合の間近約10年間の各セクターのトータルリターンを示しました(バンガード社の各セクターETFを使用)。
リターンの大きい順に、間近10年ほどで産業自体が大きく発展した「情報技術」「一般消費財」「ヘルスケア」となっています。
図.各セクターのリターン
まとめ
- 企業は業種ごとにグループ化されており、これを「セクター」と呼ぶ。
- 11種類のセクターがあり、それぞれのセクターに投資するETFが「セクターETF」。
- 米国企業の各セクターに投資できる「米国セクターETF」や、各セクターの世界中の企業に投資できる「グローバルセクターETF」がある。
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